北海道に行った時。
「知床第一ホテル」というホテルに宿泊しました。
ここのサービスは、本当に最高でした。
料理もバイキング形式だったが、
「こんなバイキングは見た事も食った事もない」ってぐらい素晴らしい料理の数々でした。
そして、何よりも最高だったのは、「従業員のサービス」です。
あまりの従業員のサービスの良さに、
「どういう社内教育をしたら、ここまでのサービスレベル」になるのだろう?
と、気になった筆者は、直接、従業員に聞いて見ました。
しかし、
「いや、特に、サービス教育等の訓練はありません」との事だった。
しかし、ある一つの気になる点から、ここのホテルの「サービスの在り方」がわかった。
ここのホテル。
大きな宴会場でバイキングを取るのだが、
普通のホテルの「サービス」とは違う所があるのだ。
それは。
スタッフが、なかなか、食器等の「片付け」をしないのである。
普通のホテル、飲食業では、「お客さんが帰ると食器類を片付ける」
しかし、ここのスタッフは片付けない。
いや、当然、次に待ってるお客さんがいれば、迅速に片付けるのだが、
ある程度、お客さんが安定しだすと、片付けない。
なぜか?
それは、「今いるお客さんに最大限のサービス」を提供する事に主を置いているからだ。
そして、実際に、
「片付け」に人を割かない分、キメの細かい、素晴らしいサービスを提供してくれた。
よくホテルや飲食店で見ないだろうか?
閉店間際、ご飯を食べている横で、「片付け」をする光景を。
この行動。
「綺麗な店内の維持」 というお客さん側への言い分をあるものの、
実質的には。
「ボー」っとする時間があるならば、
「少しでも時間短縮の為に食器類は引き上げておきたい」
という飲食店側の都合もある。
「早く片付けて欲しい」 「綺麗な店内がいい」
いや、
「片付ける暇があるならば、今、店内にいるお客さんに最大限のサービスを」
と、お客さんの言い分は人それぞれだろう。
ただ、しかし、この 「片付けずに、今いるお客さんに最大限のサービス」 の思考を、
サービス業で考えた事、味わった事が、俺にとっては新鮮で、初めての経験だった。
実際、その 「片付けない」事すらも、サービスの一環として改良しようとするその
「サービスへの徹底」は、色々な部門で表れ、
料理人、従業員、アルバイト、何百人のスタッフ、
誰一人からも「サービスの低下」を招く行動が見られなかった。
ここまで、従業員全員に、
ハイクウォリティでのサービス意識が徹底している事には理由があると思う。
まず、一点。
社長自らが、先陣に立ってバイキングの現場に立っている事。
そして、社長自身が、最も高いレベルで、サービスを行っていたという事。
「意識は伝播する」
これが、一つのポイントです。
社内で、ダラダラとした空気、意識レベルの高い人がいない職場は、
仕事に対してのレベルも、意識レベルも、低いのです。
「仕事に対する意識レベル」は、「低き」から「高き」には流れません。
まるで、「水」のように「高き」から「低き」に流れるのです。
アルバイトの意識が高かろうが、それは現場には、社内には反映されません。
「責任の高き」現場責任者から、 「責任の低き」アルバイトに流れるのです。
そして、もう一点。
ここが、もう一つの大事なポイントなのですが、
全員が、「キャスト(出演者)」として働いている。
分かりやすく言えば、サービスの良いスタッフを「演じている」のです。
この「キャスト(出演者)」の発想は、
ディズニー社の独特のサービス教育で、叩き込まれる発想です。
それと同じで、ここのホテルのスタッフ全員が、
「お客さんを楽しませる為の出演者」の意識を持っているのです。
「お客さんに怒られたくないから」 「会社の責任者に怒られるから」
という、後ろ向きな発想でサービスを提供しているのではなく、
「お客さんを楽しませるんだ」 「お客さんに気持ち良く泊って欲しい」
という、一点のみを追求している。
サービス業に、「プライド」 「私事」 というのは必要ありません。
「お客さんに満足を」 という一点のみを考えて、構築される理論、実践こそ、全てなのです。
その為に、
「公(会社内で求められる社会的気質)」 と 「私(普段の自分の気質)」 を分ける。
「分ける」為に、最もシンボリックで、最も分かりやすく、最も実践するのに、
理論的だったのが、先ほど述べた、「キャスト(出演者)」理論です。
「ぬいぐるみ」をかぶったと想像すると、話は早いです。
普段、子供と接した事のない大人は、子供と接する時、少し恥ずかしがります。
しかし、「ぬいぐるみ」をかぶり、自分が何者か分からなくなると、
子供達の人気者になる事に何の抵抗もないはずです。
これと、まったく一緒なのです。
「演じる」という事は、「普段の自分」とは違うという事です。
だから、そこに、「プライド」も「私事」もまったく感じ無くなるのです。
「意識レベルの高い責任者がサービス意識を徹底する」(実践)
↓
「意識レベルの高い職場が出来上がる」(実践)
↓
「意識レベルの高い空間になり、新人従業員も意識レベルを上げざるをえない」(実践)
↓
「実際の現場である、お客様から感謝の言葉」 (評価)
(俺も述べましたし、実際お客さんから凄く言われる様です)
↓
「より素晴らしいキャストに成長」(更なる高次元での実践)
↓
「より素晴らしいサービスの向上」(更なる評価)
こういう風に、本当に上手に、高次元でサービスがスパイラルするようになっているのです。
人間は褒められれば(評価)されれば、必ず出演者として、
より良い出演者になろうと努力します。
サービス業として、ある一つのモデル、
職業として、ある一つの真実、
これが、知床第一ホテルにはありました。
by naotsugu_notsu
| 2008-08-16 18:55